<< AUTHOR: asaikuniomi_graffiti | main | 芝居『縄文のヴィーナス』の舞台裏 >>

私の視点 露力士の解雇に疑問

 ロシア人力士二人の解雇が決まった。しかしながら、その決定にマスコミから疑問の声が上がる気配はない。それどころか、二人への風当たりは強まるばかりだ

 一体マスコミはどうしてしまったのだろう。前回指摘したように簡易検査の結果だけで実名を公表したり、「大麻汚染」が事実なら解雇も当然といった論調を展開して「世論」に仕立て上げるやり方は報道機関にあるまじき行為だ。

 結果的に精密検査が“クロ”であったから、また二人に吸引歴があったのだからマスコミの取上げ方が正しかったとする向きもあるかもしれないが、私はその結果がどうであれ、あのような状況で実名報道をするべきではないと考える。

 また、どの報道機関もあまり触れていないが、二人が吸引したという薬物の何たるか、それに加えてその薬物使用の「悪のレヴェル」の検証をするべきではないのか。読者の松永さんがコメント欄に「大麻とは何か」と題する一文を紹介されているのでお読みいただきたいが、日本では大麻の何たるかが理解されていない。

 英国を例にとって見たい。大麻は確かに彼の地でも薬物の一種とされているが、Home Office(内務省)のホーム・ペイジを見てもトランキライザーや鎮痛剤と同等の一番低い扱い(Cランク。Aランクにはヘロインやコケイン、Bランクにはアンフェタミンなどの合成覚醒剤が入っている)だ。

 アンフェタミンなどは、軍隊がパイロットなどに「疲労抑制」や「長時間の緊張の継続」を目的として使われる薬剤だ。

 Cランクの薬剤に関しては、公に服用が認められるわけではないが、それだけで逮捕に至ることはほとんど考えられない。大麻の吸引に関しては、公式の調査ではないが、一般的に少なくとも英国民の20人に1人は経験していると言われている。有名スポーツ選手の多くが愛用しているとも言われる。

 だからといって私はもちろん大麻の使用を奨励したり、吸引した行為に目をつぶれと言っているのではない。以前に起きた「相撲部屋殺人事件」のような大罪と同系列に置いて解雇というのはひどすぎると言いたいのだ。

 しかも、露力士たちが大麻使用に関わる日本の法律とそれに伴う罰則をきちんと説明されていたのならまだしも、そのような教育もきちんと受けていなかったというではないか。少なくとも新弟子の時に強制的に半年間通わされる「相撲教習所」でその種の教育を受けているかと思ったが、私の調べた限りではそのような形跡はない。

 事の深刻さを力士たちに理解させる努力を怠った責任は相撲協会になかったか。私はその点を問い質したい。

 繰り返して言うが、大麻吸引はヨーロッパの人たちの感覚では罪の意識の薄い犯罪である。それを起こしたからといって、しかも初犯である、いきなり解雇するやり方は、人権問題でもあると私は考える。

 世論、いやマスコミの目を気にする余り、相撲協会は先に逮捕された若ノ鵬(起訴猶予で釈放された)を含む3人の露力士を解雇処分にしたと思うが、こんなやり口は自分たちの弟子の教育の失敗やこれまでに噴出してきた相撲界への不満を彼らに押し付けているだけだ。

 マスコミは、露力士3人を一種のスケイプ・ゴウト(贖罪のヤギ)にして本質から目を逸らさせて一連の不祥事に幕を引こうとしている相撲協会に手を貸すことを直ちにやめるべきだ。

コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
トラックバック
calendar
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930  
<< November 2017 >>
selected entries
categories
archives
recent comment
recent trackback
recommend
recommend
recommend
links
profile
search this site.
others
mobile
qrcode
powered
無料ブログ作成サービス JUGEM