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ある母親の子育て相談から〜初めての「死」〜

 小学校4年生の女子の母親から相談があった。娘の通う小学校の校長が急逝された、それをどう彼女に伝えたら良いのかという相談だ。

「前日、いつも通りに朝校門の前で子供を出迎えて下さったのに、その日の深夜に亡くなられてしまいました。それはよい先生でいつも子供に目をかけてくださっていました。子供の動揺や悲しみは計り知れません。とりあえず、翌朝は学校に送っていきました。私自身校門に幻影がみえそうなほどです」と書かれていた。

 私達が子供の頃は多世代が同居していたり、親戚の数が多かったこと、それに社会全体の危機管理がゆるく、友人・知人が他界することもよくあった。だから死は日常に近いところに存在していた。子供達は親から特別の配慮をされなくても、大きな心の傷を負うこともなく乗り越えることができたように思う。

 私自身の経験で言えば、父は29歳の若さで他界している。当時まだ1回目の誕生日を迎えたばかりの私は、物心が付いたとほぼ同時に「死」を意識させられたことになる。小学校低学年では大切な祖母を亡くした。高学年になると、今度は身体が生まれつき不自由だった叔父が自死、さらに何度も自殺未遂を繰り返し、しばらく私の家に同居した母の教え子も自死した。

 同じ頃、遊び仲間の同級生が交通事故死。この時、担任に弔辞を読むように言われ、断ったものの強く命令に近い言われ方をして、私は泣いて抗った。また、水泳教室(当時はプールがなく近くの川で実施)で教師が水難事故に遭い、目の前で命を落とした。他にも親戚や隣人知人の死は相次いだ。

 今ここで思い返してみても、私の場合は他の人よりも少々回数も衝撃度も多いように思うが、一般的にも日常は死と背中合わせであったと言える。

 時の経過と共に核家族化が進み、危機管理も以前に比べれば格段に行き届くようになり、今は身近で命を落とす人は稀で、「死は非日常」となった。相談してきた母親も、「私自身が経験を積まずに未熟なまま過ごしてきたため、対処の仕方がわからないというのが本当のところです」と書いている。

 それだけに、ごく稀に身近で起きる人の死は、現代の子供に大きな衝撃を与えてしまう。そして、我が子の落ち込む姿を見る親もこの種の出来事をほとんど経験していないため、うろたえる人が少なくない。

 では、こういった場合、どうしたらいいのか?
 
 間違いなく言えるのは、それまでに「どう子を育ててきたか」が大切なポイントになることだ。「自ら成長しようとする内から生まれ出るエネルギーを持てる子」に育ててきたか、そうでないか。
 
 前者であれば、喜怒哀楽をしっかり表現できる子になっている可能性が高い。想像力も豊かなはずだ。だから事実をそのまま伝えることが正解だろう。

 親子で情報を共有した後は、感じ方、見方、考え方を親子で共有することも大切だ。そうすることによってまた一つ、子供は成長するチャンスを得る。

 しかし、過保護状態で育ててきた後者の場合は、慎重な姿勢が必要となる。親に、子供が受けるショックの重さを受け止めるキャパが期待できないからだ。子供の特徴に沿った対応が求められることもあり、対処法は千差万別で、だから私もここではありきたりの助言は控えたい。

 「不慮の死」が身近に起きたら、先ずは、周りの信頼できる方に相談をして欲しい。それと同時に、学校がどういう対応をするのかを問い合わせて把握することも大切だ。

 学校教育は世間ではぼろくそに言われているが、それなりに進歩してきており、現在ではこういった危機管理についても教育委員会の指導の下、様々な想定の対処法を研究している(さぼっているところもあるが…)。だから、学校側の対応を知っておくことも重要なポイントとなる。子供の通う学校の危機対応(crisis response)がしっかりしているようなら、担任と相談しながら進めていくのが良い。

 いずれにしても、子にとって必要なのは「自ら生きようとする力」。今からでも遅くはない。これを契機に自らの子供の教育法の見直しをしていただきたい。保護者の育て方一つで、子の危機対応能力に大きな差が出るのだから。

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